土間とは外と内のつながりの空間で、現代においても色々なつながりを生み出せる可能性がある空間だと考えています。今回の家づくりでも土間を生かしたいと考えています。土間空間に色々な機能を持たせて、色々なつながりを考えて見たいと思います。土間は内土間と外土間両方あっても良いような気がしています。大きな土間により小さな家をより大きく使えるような機能を持たせたいと思っています。
1) 土間空間による「地域とのつながり」
地域の人とのつながりはやはり、家に気楽に立ち寄ることができる空間を持つことから始まると考えています。今の家は人を招き入れない構造になっており、それが地域コミュニティーの崩壊を招いたといっても言い過ぎではないかもしれません。縁側談義という言葉がありますが、人が気軽に立ち寄るためにはやはり靴を脱いではいけません。靴を履いたまま腰掛けて話のできる空間があれば、自然に地域との関わりができてきます。その窓口を土間に求めようと考えています。縁側でなく土間を考えたのはやはり冬の寒い時期にもぬくぬくと会話ができることできるからです。内土間に椅子とテーブルをおいてお茶でも飲めるようにできれば、近所の人や友人と心おきなく話ができるのではないでしょうか?パブリック空間としての土間の活用を考えています。
2)「家族のつながり」と土間
子供が汚れても良い遊びや学びをする空間を土間で実現できると素敵です。色々な工作(子供達)、一輪車(子供達)、園芸、DIY、縄跳びなど、ダイナミックに使える土間は冬の季節の運動不足にも役立ちます。遊び空間として内と外の中間的な場所として最大限に活用し、遊びと学びを通じての「家族のつながり」を実現したいと考えています。
3)土間を用いた「自然とのつながり」
土間は庭と家をつなぐ緩衝帯であり、自然とのつながりをスムーズに行う役割があると考えています。土間から庭が眺められ、四季の移り変わりを体感することで「自然へのつながり」を感じられれば良いと考えています。
4)土間と「環境へのつながり」
コンクリート土間は蓄熱材としての機能を持っていることから、冬場は日光のダイレクトゲインを夜に使うことも可能です。また、夏にはコンクリート特有のヒヤッとした感触があるため冷房を軽減することも可能です。土間は省エネルギーの観点からも優れもので、ぜひ活用したいと考えています。しかし、夏にダイレクトゲインを呼び込むと大変なことになりますので、軒や庇をうまく使って、夏冬の日光の射し込みのコントロールを十分に考慮した設計をするが必要になります。
5)土間と「将来のつながり」
「将来とのつながり」として資産価値のある家づくりがあります。資産価値のある家は、丈夫な家づくりが基本です。家の中で最も痛みやすい箇所に水周りがあり、この水周りをなるべく土間にもってきたら良いのではないかと考えています。昔の民家では炊事・洗濯は土間であり、トイレは屋外でした。家の耐久性と匂い対策であったと思いますが、なかなか理にかなっていると思います。キッチン、洗濯、洗濯物干し場、トイレ、お風呂のすべてを土間にもってくることができるのならば、水周りの耐久性は飛躍的に向上すると考えています(ただし妻は膝が悪いのでキッチンの土間はある程度やわらかいクッションを敷く必要があります。)これらの土間はプライベートとしての土間であり、パブリックとしての土間と引き戸などで仕切る必要があると考えています。
6)その他
・土間を作りたいけれども最も難点は冬の寒さです。土間には電気ヒーターを埋め込んだり温水式土間暖房などの寒さ対策を絶対に施すことが必要条件になります。暖房対策なくして土間はありえないと考えています。
・土間と普段生活する空間とは田村さんの「広縁の家」のように障子で区切り、居住空間に採光を得ることができればよいと考えています。「広縁の家」のような広がりを感じさせる空間を是非とも実現したいと考えています。
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